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ラストタンゴ・イン・パリ



ある冬の朝、パリのアパートの空室で男女が偶然に出会った。

中年の男ポール(M・ブランド)と若い娘ジャンヌ(M・シュナイダー)は、お互に興味も持たず室内を点検していたが、間違い電話に刺激された男の強い腕がジャンヌを捕えた。

行為が終ったあと、二人は何事もなかったように別れた。

ジャンヌにはTVプロデューサーのトム(J・P・レオ)という婚約者があった。

いまトムは、彼女を主人公に「少女の肖像」というドキュメントを製作している。

ジャンヌはあのアパートでの悪夢にも似た一瞬の暴力が忘れられなかった。

彼女は憑かれたように再び部屋を訪れた。彼女がひそかに予想していたように、ポールがいた。

彼は提案した。ここにいる間はただの男と女。名も知らず、過去も一際明かさない。ここではセックス以外存在しない、と。

ジャンヌはこの異様なアバンチュールに身を投じた。二人は孤島のようなアパートの一室で会い、オスとメスになって肉欲に身を焦がす。

ポールは下町で簡易ホテルを経営していた。彼の妻ローザは自殺し、彼にはその理由が分らなかった。

彼は、妻と肉体関係を結んでいたホテルの住人マルセル(M・ジロッティ)を訪れ、妻の話を聞いた。

妻は自分よりもこの男を愛していたようだ。ポールはただ妻の肉体を恋こがれた。

一方ジャンヌは次第に耐えられなくなってきた。ポールとの“隔絶した肉欲の時"とトムとの自然な愛の流れの使い分が困難になってきたのだ。

この不思議な契約が消滅する日がきた。彼女は呪縛から解放され、トムをともない新しい生活の場としてこの部屋を見直した。

その帰り道、ポールはジャンヌを待ち伏せていた。彼女はポールにはっきり宣告しなければならなかった。

昼間のダンスホールは社交ダンス・コンテストが開かれていた。

タンゴの曲が流れ、二人は酒に酔いしれた。逃げるジャンヌを、ポールは執拗に追い、彼女の家へ押し入った。

恐怖がジャンヌを支配した。彼女は父の遺品の軍用ピストルを握り、ポールに向けて発砲した。

やがてポールはベランダに崩れ折れた。

「私はあなたを誰か知らない」ジャンヌはうわ言のようにいい続けていた。

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